副作用について
注射後:注射中や注射後に次のような症状がみられた場合は、医療機関へご相談ください
フォリスチム®の注射中〜注射後(2 週間程度まで)に次の症状がある場合は、注射を中止しすぐに医療機関にご連絡ください。
注意を要する副作用:卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは?
フォリスチム®️は、卵巣内にある未熟な卵胞の発育を促し、卵胞に包まれている卵子を育てる製剤です。しかし、予想よりもたくさんの卵胞が刺激されてしまうと、卵巣が膨れたり、尿量が減りお腹や胸に水が溜まるなどの症状が起きてしまうことがあります。これを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼び、フォリスチム®️の在宅自己注射時に最も注意しなければならない副作用です。
症状がひどくなると、腎不全や血栓症など様々な合併症が生じたり、入院して治療することもあります。
早めに発見することで、予防薬を服用したり、注射を一時中断するなどの早めの対処ができますので、体調の変化を感じたらすぐに担当の医師や医療機関に連絡をしましょう。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の生じやすい時期
OHSSはフォリスチム®️の注射中だけでなく、注射期間が終わった後、卵胞を成熟させるためのお薬(hCG 製剤)を注射した後や妊娠が成立した時に、急速に悪化しやすいと言われています。そのため注射後24時間から2週間は症状が出やすいので、次のページのOHSS の初期症状を参考にし、体調の変化にとくに気をつけましょう。OHSSの症状は次の月経を迎えると自然とおさまりますが、異常を感じた時には性交を控え、医療機関を受診しましょう。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生頻度
フォリスチム®️を使用した排卵誘発や生殖補助医療(ART)における調節卵巣刺激でのOHSS 発生率は 4.7%と報告されています※。
※ フォリスチム®承認時の臨床試験結果より
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の初期症状
フォリスチム®の注射中〜注射後(2週間程度まで)はとくに注意が必要です。
おなかが張る
(ウエストがきつい)
おなかが痛む
はき気がする
急に体重が増えた
尿量が少なくなった
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が生じやすい患者さんの特徴
次のような方は、注意しましょう。
- 若年(35歳未満)
- やせている
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されている
- AMH(抗ミューラー管ホルモン)が高値
- 過去にOHSSや多胎妊娠を経験している
- フォリスチム®️の注射量を増加した
- 血中エストラジオール値が急に上昇した
- 発育している卵胞(卵子)数が多い
- 生殖補助医療(ART)の治療で採卵数が多い
- 卵胞を成熟させて排卵するお薬(hCG 製剤)の用量が前回の治療より増えた
- 排卵誘発剤使用後に妊娠した
その他の注意を要する副作用
- 血栓塞栓症(頻度不明)※
血のかたまり(血栓)が血管に突然つまる病気で、手足の麻痺やしびれ、しゃべりにくい、胸の痛み、呼吸困難、足の痛みを伴う腫れなどの症状がみられます。
急激な症状の変化がみられた場合には、放置せずにすぐに担当の医師に連絡しましょう。 - 流産(0.3%)※、異所性妊娠(子宮外妊娠)(0.1%)※
妊娠予定日もしくは胚移植後、2〜3週間経過して、異常な下腹部痛、出血などがみられたら、必ず受診しましょう。 - 多胎妊娠(29.0%)※
1度に2人以上の赤ちゃんを妊娠する多胎は、お母さんの体への負担が大きく、妊娠高血圧、妊娠糖尿病などのリスクがあったり、赤ちゃんの発育不良などの影響がでることがあります。現在では多胎妊娠を防ぐために、卵巣の様子をみながらフォリスチム®️を少量ずつ注射する方法(一般不妊治療、排卵誘発)や、子宮に移植する胚(卵子)を1つに制限する(生殖補助医療:ART)など、多胎妊娠を予防する対策がとられています。 - アナフィラキシー、アレルギー反応(いずれも頻度不明)※
過去にフォリスチム®️やその他の卵胞刺激ホルモン製剤などでアナフィラキシーやアレルギー反応を経験された方は、担当の医師にご相談ください。
※ フォリスチム®承認時の臨床試験結果より
上記の症状以外であっても、気になる症状や不安がある場合には、
担当の医師・看護師・薬剤師に相談してください。